(特價優惠-恕不退換)臨床呼吸器官外科手術(日文書)

J311400-791/9784260007917

ISBN

9784260007917

作者/出版社

白日高步/醫學書院

出版年代/版次

2012/1

定價NT$ 11,288
NT$ 9,030
數量

重量:1.7kg  頁數:424    裝訂:精裝  開數:30.5*22  印刷:彩色


 手術は外科医にとって日々の生きる糧である。手術を手がけない外科医をわれわれは外科医とは呼ばない。少し大げさな表現かもしれないが,外科医はその日その日の手術に命をかけている。どんな手術にも危険はつきものである。その危険とはどのようなものか? まかり間違えば患者の生命を危うくするかもしれない危険である。患者は外科医に自分の病気の治療を託し,外科医はメスを持ってその病気を治す。外科医はそのような仕事に全力をかけて毎日を過ごしているのである。
 友人のS医師は壮年の頃手術に臨んで,よく次のような思いを若い後輩に語ったそうである。「もし,手術場の隣室の窓が開いていて,その前に誰も履かないスリッパが2つそろえてあったら,そこから下の地面をのぞいて見てくれ。俺が身投げをしているかもしれないからな。自分はもし手術が失敗して,患者の生命を失うことにでもなれば生きてはいられないといった気持ちで手術に臨んでいるのだ…」と。
 この言葉を真に受ける人がどれほどいるかと思うが,大げさな冗談ではすまされないほどの決意がその根底にこもっていないだろうか。それほど日々の手術は外科医にとって必死の仕事のはずである。
 外科手術の目的とするところは何なのか? 同じ言葉の繰り返しとなるが,手術という行為は患者の生命を脅かし,身体を苦しめる病気をメスを使って,安全に体から取り除く仕事と言えるだろう。この仕事を完遂するためには,外科医はそれに相応するだけの手技を持たなければならない。筆者は永く外科の一分野である呼吸器手術に従事してきたが,メスの握り方,糸の結び方,皮膚の切開方法など,それらすべての手技をいろいろな手段で修得してきた。すなわち数多くの先輩から手をとって教えていただいたり,優れた指導者の手術を見学したり,学会での映像による手術手技を熱心に見たり,聞いたりするといった類の手段であった。そして,それらとはまた別に,さらにもっと重要な方法として,手術に関する解説書を丁寧に読むことも大切であった。そのようにしながら他のすべての呼吸器外科医と同様に,全くのゼロの状態から呼吸器外科の手技を修得していったのである。そのような己の手術手技修得の軌跡を振り返り,いつかこれから呼吸器外科に従事しようとする若い外科医のための本を書きたいと思ってきた。
 これまでにも優れた先達による呼吸器外科手術書が多く世に出されてきた。しかし手術の世界も日進月歩である。10年,20年前には想像すらしなかったような新しい手技がもう普遍的となり,標準的手術法として認められる可能性を秘めた世界である。いつの時代になっても若い外科医が古くから伝えられる手技に加えて,そのような新しい方法を学ぶための指導書が存在しなければならない。
 本書は筆者のそのような思いを込めて執筆したものである。この手術書の中に記載された内容のほとんどは,筆者自身が約40年にわたって実際に経験したものであり,またその事実がなければ,このような手術書を世に出すことは恥ずかしくてできなかったであろう。本書では手術の解説文と多くのイラストに加えて,随所に若い外科医のために「コラム(一口メモ)」として,いわば手術への姿勢のようなものを披瀝した。訴えたいのはあくまで「初心忘ルベカラズ」の精神である。
 本書の刊行にあたりいろいろとご助言,また丁寧な御監修をいただいた前大分大学第2外科の川原克信先生に深甚の謝意を差し上げねばならない。川原先生は私と同じ手術場で患者の治療に協力し合った仲であるが,その群を抜いた手術技倆には常に感嘆の気持を抱かされ,本書においても執筆協力の労をとっていただいた。さらに永年にわたり手術チームの一員として共に働いた岩崎昭憲,白石武史,岡林 寛,山本 聡の各先生には編集面でのご協力をいただき深く感謝する。また本書の刊行にひとかたならぬお骨折りをいただいた医学書院の伊東隼一氏,玉森政次氏,さらにイラストの労を担っていただいた林 健二氏にも心からの謝意を表したい。
 呼吸器外科の精進に日々余念のない多くの若手医師のために,本書がわずかでもその手助けとなれば,筆者の思いは十分に達せられる。もう一度繰り返すが,手術にいい加減な気持ちで臨む外科医師は1人もいないはずである。外科医にとって手術場は戦場である。われわれは常に心中,鉢巻きを締めて戦場に臨まなければならない。

 2012年4月
 白日 高歩

目次
I 呼吸器外科手術のための解剖
 1 胸壁の解剖
 2 胸腔内の解剖
 3 気管・気管支系の解剖
 4 肺血管系の解剖
 5 リンパ節
II 体位・麻酔
 6 体位
 7 麻酔法
III 呼吸器外科の基本手技
 8 皮膚切開
 9 開胸法
 10 閉胸法
 11 癒着剥離
 12 肺門血管,気管支の処理法
 13 出血への対応
 14 胸腔鏡下手術
IV 各種疾患に対する手術法
 15 肺悪性腫瘍
  A.肺葉切除
  B.肺葉切除以外の縮小手術
   (1)肺部分切除
   (2)肺区域切除術
  C.肺全摘術
  D.縦隔リンパ節郭清
  E.胸壁合併切除と再建
  F.パンコースト(Pancoast)肺癌
  G.血管形成術
 16 転移性肺腫瘍切除術
 17 胸腔鏡による肺癌手術
  A.胸腔鏡下肺葉切除(VATS肺葉切除)
 18 気管管状切除・再建
 19 気管支形成術
 20 特殊な気管分岐部切除・再建術(端々・端側吻合法)
 21 隣接臓器合併切除
 22 びまん性中皮腫
 23 胸壁腫瘍
 24 膿胸
  A.急性期後膿胸(線維素膿性期)
  B.慢性膿胸
 25 肺瘻・気管支断端瘻
  A.肺瘻
  B.気管支(断端)瘻
  C.大網(Omentum)を利用した膿胸腔と瘻孔閉鎖
  D.筋肉(弁)充填術
 26 胸壁膿瘍(前胸壁切除,再建)
 27 縦隔疾患の外科
 28 縦隔膿瘍
 29 嚢胞性肺疾患
  A.自然気胸
  B.月経随伴性気胸(Catemenial pneumothorax)
  C.血気胸,血胸
  D.巨大肺嚢胞
  E.Lung volume reduction surgery(LVRS)
 30 炎症性(感染性)肺疾患の外科
  A.肺結核・気管支結核
  B.感染性肺嚢胞
  C.肺アスペルギルス症
 31 気管支拡張症
 32 肺化膿症,肺結核,非結核性抗酸菌症
 33 胸膜生検,肺生検
  A.胸膜生検
  B.肺生検
 34 胸管結紮
 35 胸腔鏡下交感神経切除
 36 術中迅速組織診・細胞診法
 37 心外膜切開(心嚢開窓)
 38 漏斗胸
 39 鳩胸
 40 先天性肺疾患
  A.肺分画症
  B.肺過誤腫
  C.横隔膜弛緩症
  D.肺動静脈瘻(Pulmonary arteriovenous fistula)
 41 小児の呼吸器外科疾患
  A.CCAM(Congenital cystic adenomatoid malformation)
  B.肺分画症
  C.気管狭窄症
  D.気管・気管支軟化症
  E.肺葉性肺気腫
  F.気管食道瘻(食道閉鎖症)
  G.炎症性肺嚢胞
 42 胸部外傷
  A.(多発)肋骨骨折
  B.肺裂傷
  C.気管・気管支損傷
 43 縦隔鏡
 44 頸部リンパ節生検
 45 腋窩リンパ節生検
 46 胸腔ドレーン挿入
 47 気管切開
  A.標準的気管切開法(一般的方法)
  B.気管切開(キット法)-経皮的気管カニューレ挿入法
  C.輪状甲状間膜切開(ミニ気管切開)
 48 肺血栓症
 49 肺移植
  A.脳死肺移植
  B.生体肺移植
 50 Robotic surgery(ダ・ヴィンチ手術)

参考図書
索引